VOICE INTERVIEW No.191 - 麻生久美子(女優)

読売新聞 2011.07.15

理想の家族像が、この映画にはあると思う

2000年の三宅島大噴火による島民の避難時に、離ればなれになった犬と飼い主一家との絆を描く映画「ロック ~わんこの島~」が公開される。本作で、初めて小学生の子どもの母親役を好演した麻生久美子にインタビュー!
本作は、フジテレビの朝の情報番組「めざましテレビ」で紹介されて反響を呼んだ実話を基にした感動作で、わんこと息子・芯役、土師野隆之介の健気で愛くるしい熱演が胸を打つ。また、佐藤隆太扮するバカ正直で誠実な父親・野山松男や、麻生の肝っ玉かあさん・貴子、倍賞美津子が扮する生粋の島育ちの祖母・房子ら家族との心の交流も、本作の見どころだ。
メガホンをとったのは、「冷静と情熱のあいだ」の中江功監督で、ロケは実際に三宅島でも敢行。「島は生きている」という劇中の台詞通り、映像では島の雄大な美しさと共に、噴火による自然の脅威をも訴えかける。そんな島でのロケの思い出や、佐藤や土師野ら共演者との撮影秘話などを麻生がたっぷり語る。

――小学生の母親役は初めてですが、麻生さんと貴子との共通点はありますか?
「わりと私っぽいです。私も子どもがいたら多分すごく怒るだろうし。うちの愛犬にもしつけはとても厳しくしたんです。普段は超甘々ですが。貴子は厳しいけど、愛情深い感じがしますね。私もああいう風になりたいというか、なるだろうなと。また、映画を観終わってびっくりしましたが、貴子はうちの母親にそっくりだったんです。全く意識をせずに芝居をしていたので、本当に驚きました」

――「うぉ~!」と叫ぶシーンが面白かったです。
「台本に叫ぶとは書いてなかったのに、監督から『うぉ~!って言ってくれる?』って言われて。また冗談を、と思っていたら結構本気で(笑)。しかも『野太い声を出してくれ』ってことで、ええ!?って。あれを試写で観た時はすごく恥ずかしかったです」

――土師野くんと共演された感想を聞かせてください。
「純粋ですごく素朴な子で、可愛かったです。お芝居がとても上手だったので、私もずいぶん助けられました。子役全般に言えることですが、最初の頃はどうやって接していいか分からなくて戸惑うんです。でも、土師野くんは、すごくいい子でゲームを持っていないところとかがかなり好印象でした(笑)。少しずつなついてくれて、東京編になった頃にはもう飛びついてくれるくらいになりました。嬉しかったです。私、ちょっと恋していました。うちの子になってほしいなって思ったり。あと、土師野くんの眉毛が好きでした。チェブラーシカに似てませんか(笑)。私の撮影が全部終わった時、チェブラーシカのぬいぐるみを土師野くんがくれたんですよ」

――佐藤さんとも初共演だったそうですね。
「すごく明るくて元気というイメージそのままでした。だんだん撮影が進むにつれて、ただ元気なだけじゃなく、すごく繊細な一面も見えました。空気を読んで気を遣い、場を盛り上げてくれるんです。また、お芝居でもぐっときてしまったシーンがあって。佐藤さんが私の芝居を受けた表情をしてくれた時、ああ、この仕事をやってて良かったと思えるくらいの化学反応が起きて、お芝居をしてきて良かった!と思いました。とても楽しかったです」

――倍賞さんとの共演は、今村昌平監督作「セプテンバー11」以来でしたが、いかがでしたか?
「倍賞さんは、私が言うのも失礼ですが、めちゃくちゃ可愛いというか、チャーミングな方なので、私もああいう風になりたいと憧れています。今村組でご一緒した時はあまりお話ができなかったけど、今回はすごく時間があったので、色んな悩みを打ち明けたりして、とてもいい時間を過ごせました。誰にも言ったことがないような悩みをなぜか打ち明けちゃったんです。でも、そういうのをポロッと言わせちゃう魅力があるんでしょうね。アドバイスをいただいたり、倍賞さんの経験などを教えてもらいました」



――野山家ファミリーはとても良い家族ですね。
「あの家族は理想的です。短期間で作り上げた家族っていうよりは、わりと本物に見えたというか、そういう雰囲気が出せたかなと。私が将来子どもを産むとなれば、あんな感じになるといいなっていう理想の家族像みたいなものが映画にあったと思います」

――芯との別れのシーンに感動しました。
「あそこはリハーサル含めて 3~4日やりました。あのシーンは私も山場だなと思って、監督に色々聞いたんですが、『大丈夫。できるまでやるから。芯の所に駆け寄りたいって気持ちになるまで、そこを動かないで』って言われたんです。でも、フィルムで撮っているので、もったいないと思ってしまって…。そろそろ行った方がいいかなって思って行ったら、みごとに監督に見抜かれ、ちょっと悔しかったです(笑)。そこからは戦いで、そういう気持ちになるまでは絶対に動かないって思いました。でも、感情がのった時の芯のお芝居は本当に素晴らしいんです。そうなるとぐっとくるから、私も駆け出せる。それをひたすら待っていた感じです。そういう撮影方法は今まで一度もなかったので、すごく面白かったです」

――島民が故郷へ帰りたいという気持ちに共感はできましたか?
「すごく共感できました。私も生まれは違いますが、ずっと育った千葉はとても大切な場所なので、あそこに帰れないとなると、すごく胸が痛いです。生まれ育った場所って特別だから。東日本大震災で被災された方に関しては、もし観てくださる方がいるならば、この映画を見ることで希望を持ってもらえたら嬉しいなと思います。でも、今、本当に大変な人のところへは届かないんじゃないかという思いもあって。観てもらいたいですが、それはそういうタイミングが来た時に観てもらえばと。観た方それぞれが色々と感じていただければいいですが、あまり押し付けたくないというのが正直な気持ちです」

――もしも実写化されたら出演してみたい好きな漫画はありますか?
「基本的に、好きな作品の実写版には出たくないんです。プレッシャーがすごいので。だけど、大好きな『宇宙兄弟』の映画出演のお話をもらって。大好きな漫画なのでびっくりして、お断りしたほうがいいかなと思ったんですが、こんなチャンスはないかなとも思い、勇気を出してお受けしました」

――また、雑誌の編集長になったら、どんな雑誌を作りますか?
「不動産情報を載せたりして、多分お洒落じゃない方向へ行くと思います。間取りを眺めるだけですごく落ち着くんです。だからそういう情報や、おすすめ家電などを載せる変な雑誌になると思います(笑)。家を建てるのが夢だから、家作りの雑誌にしたいです」

Text:Nobuko Yamazaki
Photo:Megumi Nakaoka



http://magabon.yomiuri.co.jp/special/voice/191_01.html

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