VOICE INTERVIEW No.104 - 麻生久美子(女優)

読売新聞 2010.05.28

騙している部分をどうやってバレないように演じるか。そういう演技に挑戦できることが出演の決め手でした。

テレビドラマ「時効警察」を機に、「純喫茶磯辺」「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」「たみおのしあわせ」「インスタント沼」など、コメディ作品の出演が続き、女優として新たな一面を開拓しつつある女優・麻生久美子が、生田斗真主演の新作映画「シーサイドモーテル」でも新しい役に挑戦。キュートでセクシーなコールガールを演じている。30代目前のがけっぷちコールガール“キャンディ”という役の魅力について、そして女優としてのこれからについて語ってもらった。

――コメディ的作品のオファーが続いていますね。
「自分でそういう役をやりたいと思って演じさせていただいているので、楽しんで演じています。でも、同じような役が続きすぎるのは良くないのかなとも思っています。今は(毛色の違う)NHKドラマ『チェイス』もはさんでいるので自分のなかではそうでもないのですが、映画作品としてはコメディ的なものが続いていますよね。だから、そろそろ…とは思っています」

――20代の頃の麻生さんのイメージは、どちらかと言うと“大人びた美女”で、そのイメージに合った役が多かったと思うんです。けれど、30前後を境にちょっと変わった役が増えてきているのかなと?
「それはもう、ドラマ『時効警察』のおかげですね。以前はほとんど死ぬ役ばっかりでしたから(笑)。『時効警察』に出たことがきっかけで、変わった役をいただくようになりました。もちろん、年齢を重ねたということも大きいのかもしれませんが。それに、もともとの顔の作りのせいなのか、若い頃はすごく年上に見られていて、10代半ばから20代前半まではずっと老けているって言われていたんです。最近は(その差が)無くなってきたのかもしれません。だから、もし20代の頃にキャンディの役が来ていたら、今回のようには演じられなかったのかなと思います。キャンディの役の設定は30歳手前のがけっぷちなので、年齢を重ねないと出せないものもあると思うんです。その点、私はもうがけっぷちを経験しているので、その説得力は出せていると思います(笑)」

――キャンディのセリフ「今宵あなたと萌え萌えフォーリン・ラブ♥」を振り付きでというのは、けっこう衝撃的でした。ほかにもちょっぴりクサいセリフもありましたが、抵抗や恥ずかしさは?
「だいぶ寒いセリフでしたけど(笑)、楽しかったです。この作品は騙し騙されるコメディで、しかもほとんど会話だけで成り立っているんです。そのなかで私がやりたかったのは、騙している部分をどうやって見せない(観客にバレない)ように演じることができるかということでした。通常コメディは騙しているんだということを分かりやすく伝えるんですが、それはしたくなくて。そういう演技に挑戦できることがこの作品に出演したいと思った決め手でした」

――これまでの人生で騙した経験は?
「嘘をついたことはあります(笑)。小学校の遠足の時にお水を持っていったんですけど、その時に、『うちのお水は井戸水だから甘いんだよ』って言って友だちに飲ませたら、『スゴイ! 甘い!』って驚いてくれたんです。でも、実は私が砂糖を入れただけだったんですけどね(笑)」

――逆に騙されたことは?
「まさに今回のお話みたいなんですけど、20代半ばの頃にキャッチセールスに引っかかったことがあります(笑)。あまりよくないことだとは分かっていたんですけど、たまたまその日は朝から誰とも喋っていなくて、誰かと喋りたくして仕方なかったんです。それで、原宿で声をかけられてお店までついていってしまったんです。また、そのセールスマンがかけひき上手で、つい…(苦笑)。クーリングオフできたのでいいんですけどね。その彼のかけひきが今回の生田さん演じる亀田にあったら、多分私は亀田からクリームを買っていたかもしれないです(笑)」



――生田さんとは今回が初共演となりますが、共演した感想は?
「ジャニーズの方って真面目な方が多いので、生田さんもきっと真面目な人なんだろうなとは思っていました。で、実際にお会いしてみたら想像以上に真面目な方だなという印象でした。何故なら、映画『人間失格』の撮影からたった5日しかない状況でこの映画の撮影が始まったのに、セリフが完璧に入っていたんです。そういう人と一緒に仕事ができるのは嬉しかったですね」

――モーテルの4つの部屋でさまざまな出来事が起こりますが、103号室は亀田とキャンディのみ。2人劇の面白さはどんなところ?
「息の合った芝居ができるのかなと不安だったんですが、すんなりとできました。生田さんは人との距離感の取り方が上手なんです。それと、私が気を付けたのは、クサいセリフをどうしたら気持ちよく言葉にできるかということで、ひとつだけ監督と話し合ったのが、「戻ってくるわ」というセリフの言い方についてでした。監督は語尾の「わ」を上げた方がいいんじゃないかとおっしゃったんですが、私はどうしてもそうは言いたくなくて…。キャラクター的に語尾は下げたかったんですよね」

――ベッドシーンを別々に撮ったという話も話題になっていますね。
「ベッドシーンがあるっぽいということはト書きにあったんです。でも、ああいうシーンになるなんてどこにも書いていなくて(苦笑)。どのタイミングで監督があのシーンを思いついたのかが知りたいです。もしも最初から予定していたとしたら、超いじわるだと思います(笑)。そもそも、1人でできないことを1人でしなければならないことがどれだけ恥ずかしいか……。あれほど恥ずかしいことをさせておきながら、実際に使われているシーンはほんのわずかなんですから! 世に出なくて良かったと思う反面、あんなに頑張ったのにという気持ちもありますけどね(笑)」

――以前、麻生さんはフォトエッセイ「忘れられない花のいろ 麻生久美子のペルシャ紀行」を出していますが、今回の映画が旅の話ということで、また紀行ブックを出すとしたらどの国へ行きたいですか?
「エジプトに行ってみたいんです。特別なきっかけがあったわけではないんですが、昔からエジプトものの漫画とかが大好きで、一度、自分の目でピラミッドを見てみたいと思ってます。あと、今回の撮影で使ったモーテルの場所が気持ちのいい場所だったので、車でドライブしながら犬と一緒に泊まれたらいいなぁと、撮影中考えていました」

――最後に、今後どんな役に挑戦したいですか?
「今まで色々な役をやらせてもらっていますが、まだまだ演じたことのない役は多いので、そういった役を演じていきたいと思っているんです。また、昨年末には初舞台を、その後も一人芝居を経験したり、初めてのことが続いて楽しいですね」


http://magabon.yomiuri.co.jp/special/voice/104_01.html
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