『時効警察』の3人が再集結! - 『たみおのしあわせ』岩松了×オダギリジョー×麻生久美子 Special対談

深夜枠の放映ながら、高視聴率を誇ったドラマ『時効警察』シリーズの主演コンビ、オダギリジョーと麻生久美子が、同作で熊本課長を演じた岩松了が監督・脚本を務める『たみおのしあわせ』(7月19日より全国公開)で再び顔を合わせた。




亡き母の実家で父と2人で暮らしている青年・民男(オダギリ)が、父の上司から持ち込まれたお見合いで美女・瞳(麻生)と出会い、あっという間に縁談がまとまる。有頂天の父子は結婚に向けて準備を進めようとするが、意表を突く展開が次々と押し寄せて……という一風変わったコメディ作で、『時効~』とはまるで違うシチュエーションでも息の合った名コンビぶりを見せるオダギリ&麻生と、今回は監督として2人を見守った岩松に話を聞いた。


『時効警察』より前から決まっていたキャスト陣

――主役2人のキャスティングは「時効警察」のヒットを受けてのもの、とも取れます

岩松了(以下:岩松)「いや、『時効警察』が始まる前からオダギリくんと映画を撮りたいという話をしていて、相手役は麻生さんがいいなと思っていたんです。そのころに『時効~』が始まったので、声がかけやすくなり、出演してくれることになりました」

麻生久美子(以下:麻生)「『時効~』で共演した後で、ちゃんと声をかけてくれたのはうれしいですね(笑)。一緒に仕事をしてみて、岩松さんが断る可能性もあったわけですから」


岩松了の深い言葉たち
――岩松作品のセリフは深読みをしようと思えば、いくらでも出来ます。オダギリさんと麻生さんに、演じる側から印象に残ったセリフを伺いたいのですが

オダギリ「文学的なんですよね、岩松さんのセリフって。毎回そう思うんですけど。"鳥が飛んでる"というセリフは麻生さんの役にも、僕にもある」

麻生「そうですね。私はあのセリフが一番好きです」

オダギリ「お互い違うシチュエーションで同じセリフを言うって、なかなかないですからね」

麻生「普段言わないセリフですから。でも、岩松さんの世界観でどうやって言ったらいいんだろうと思って、難しかったですね」




――この「鳥が飛んでる」は、民男の父を演じた原田芳雄さんも、気になるセリフとして挙げていました。民男と瞳に同じセリフを言わせたのには、何か意味があるのでしょうか

岩松「いや、ちょっと筆が滑っただけです(笑)。というよりも、最初は"あれはトンビだ"とか、余計なセリフを書いていたのですが、全部やめて、「鳥が飛んでる」だけにしたんです。舞台だと、それではもたないんで、つい書き足してしまいますが、映像だと間があっても大丈夫ですから。実際、あのシーンも納得のいく間になっていますし。舞台のくせで書いてしまう時があるんですよ。『鳥を見た感じを2人の立場からそれぞれ言う』っていうようなセリフをついつい書きがちで、それを消したっていう流れがありましたね」


――タイトルが当初の『たみおのしあわせ』から一時、『そして夏がきた』に変更され、また『たみおのしあわせ』に戻りましたが、その理由は?

岩松「タイトルを変えたいという要望があり、悩んだ末に『そして夏がきた』っていうのを提案したら、決まったんです。撮影が終わって編集している時に、日付を入れてみたんですよ、『5月5日晴れ』とか。そしたら、リズムが出てきたような気がして、結婚式の前に『大安吉日』、最後に『そして夏がきた』と入れて、これで収まりいいかな、みたいな感じでした。でも、結局は前のタイトルが作品の色になっているという話になり、戻ったといういきさつがあります」

――オダギリさんは"たみおのしあわせ"というタイトルを推したのですか?

オダギリ「そうですね。ちょっと間抜けな雰囲気もするじゃないですか、題名自体。全部平仮名で。それが好きだったんですよね」

麻生「私も『たみおのしあわせ』のほうがいいと思うってことは言いました」




――岩松さんは今回、監督という立場から、2人をごらんになっていかがですか。

岩松「僕は舞台をやる時には役者は素人でいいと思っているぐらいなんですけれども、この映画を撮って、やっぱりプロはプロでいいもんなんだなと思いました。ちゃんと引いて考えてるっていうのかな。素人の良さもあるんですけれども、そうじゃない良さを教えられました。2人は『時効』で共演していますが、その時は『時効』のやり方があるし、『たみお』の時は『たみお』のやり方があることを知ってる。それを撮影が始まってすぐに実感して、2人ともプロなんだ、と尊敬しました。僕も役者をやるけど、隣のおじさんばっかりやってちゃ駄目だと思って(笑)。俺も真面目にやらねばと教えられましたよ」

オダギリ「恐れ多い言葉ですよね、岩松さんにそんなことを言っていただくなんて」

麻生「ほんとに」

オダギリ「麻生さんは素晴らしい女優さんですけどね」

麻生「思ってないですよね(笑)」

オダギリ「いや、思ってます。前から言ってますよね。天才なんですよ」

麻生「わあ、適当ですね(笑)。思ってないからそういうこと言うんですよ」

オダギリ「いや、9割は本当ですよ(笑)」

麻生「9割って(笑)。岩松さんのお言葉はすごくありがたいなって、うれしかったですけど、オダギリさんはどれが本当か嘘か、よくわからないんです。でも、私がオダギリジョーさんを尊敬してるのは、わかってくれてると思うんです。『時効』と『たみお』では、もう全然別人だったんで、一緒に芝居をするうえで、すごく助けてもらったなと思ってます」

オダギリ「それは7割ぐらい本当です(笑)」




『たみおのしあわせ』
監督・脚本 : 岩松了
出演 : オダギリジョー、麻生久美子、原田芳雄、大竹しのぶ、小林薫、忌野清志郎

配給 : スタイルジャム

7月19日よりシネスイッチ銀座、新宿バルト9ほかにて全国ロードショー (C)2007 『たみおのしあわせ』フィルムパートナーズ
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