麻生久美子インタビュー 豪快な母ちゃんを熱演!「この家族自体が私の理想」

cinema cafe.net 2011-07-20 20:56

2000年8月の三宅島大噴火により避難を余儀なくされた一家と、彼らの飼い犬・ロックの絆を描く『ロック ~わんこの島~』。情報番組「めざましテレビ」(フジテレビ)の人気コーナー「きょうのわんこ」に登場した犬、ロックの実話をモチーフに、家族の在り方と故郷への愛を見つめる感動作で、たくましく愛情深い一家の“母ちゃん”、野山貴子を演じた麻生久美子が、撮影の裏側や母親役を通して芽生えた思い、理想の家庭像について語ってくれた。

山場のシーンで込めた思い「私は私の仕事をするんだ」

麻生さん演じる“母ちゃん”こと貴子は、夫と共に民宿を切り盛りするたくましい母。明るく豪快な母ちゃんは、思いがけない言動で周囲を驚かすこともある。実写での母親役は初めてだという麻生さんだが、ここまで豪快な女性役も初めてなのでは?

「そうですよね(笑)。貴子を演じるにあたって、まず監督に言われたのは『シーンごとに別人に見えるくらいでいい』ということ。なので、あまり深く考えずに演じていきましたね。とは言え、貴子が思いっきり叫ぶシーンは、撮影のときも出来上がりを観たときもすごく恥ずかしかったです。監督から野太い声で『うおおおお!』と叫んでくれる? と言われまして…。『またまた冗談を』と思っていたんですが、どうやら目が本気。『あれくらいやっておけば、貴子のキャラクターを分かってもらえるから』って監督はおっしゃるんです。思い切ってやりましたけど、いまでも恥ずかしいですね(笑)」。

さすがは監督と言うべきか、その甲斐あってと言うべきか、パワフルな母ちゃんの明るさは一家を照らすと同時に、観る者に温かい笑いをもたしていく。息子の芯を演じた土師野隆之介くんとの親子ぶりもナチュラルで素敵だ。麻生さん自身、困ったように垂れ下がった眉がチャーミングな隆之介くんにメロメロなのだそう。

「土師野くんの眉毛が大好きなんですよ。子役ということもあって最初はどう接していいか分からなかったんですが、本当に純粋な良い子なので、自然に仲良くなれましたね。撮影が中盤にさしかかる頃には飛びついてくるくらい懐いてくれて、私、ちょっと恋してましたね。本当にうちの子になってくれないかなって。あの子、チェブラーシカに似てません(笑)? クランクアップのとき、私にチェブラーシカの人形をくれたんです」。

そんな2人にとって忘れがたいシーンがある。東京に避難することになった芯と、彼を見送ろうとする母ちゃんがそれぞれ感情を溢れさせるシーンだ。泣きじゃくる芯の元に、母ちゃんが駆け寄る。

「あのシーンにはリハーサルも含めて3~4日かかりましたね。私も山場のシーンになるなと思っていましたし、監督からは『できるまでやりますから。芯のところに駆け寄りたい気持ちになるまで動かないでください』と言われました。だから、私も『本当にその気持ちになるまで動かないでおこう』と思って。芯に申し訳ないなと思いつつ、“私は私の仕事をするんだ”と自分に言い聞かせていました。そうしたら、自然と駆け寄れる瞬間が来ましたね。と言うのも、感情が乗っているときの土師野くんのお芝居って本当に素晴らしいんです。そういう撮影方法も初めてでしたから、とても面白かったですね」。

意外な発見? 「実はわりと普段の私っぽいんですよ」

ところで、その頃父ちゃんは…。一家の優しい父・松男は、麻生さんとは初共演の佐藤隆太が演じた。

「佐藤さんの明るく元気なイメージはそのままだったんですが、撮影が進むにつれ、繊細な一面も見られるようになって。周囲にもすごく気を遣われるし、本当に素敵な方でしたね。実は撮影中、ちょっとしたシーンでなぜかぐっときてしまったことがあったんですよ。避難先のアパートに家族3人でいるとき、芯が『いつ帰れるの?』って言うシーンでのことなんですけれど。そうしたら、佐藤さんはそんな私のお芝居を受けての演技を返してくださって。あのときは本当に、この仕事をやっていて良かったなと思いましたね。化学反応というか、これがお芝居だなって思いました」。

作品という名の絆で結ばれた共演者共々、母、そして妻を演じ上げた麻生さん。「あの役、実はわりと普段の私っぽいんですよ」と笑いながら、撮影を通しての意外な発見、自覚した理想の家族像を明かしてくれた。

「きっと子供がいたら、私も貴子みたいになるんじゃないかなって。しつけもきちんとしますし、怒るときは怒りますし。自分で言うのもなんですけど、厳しいけれど愛情深い母親になるだろうなって思います。ただ、観終わってびっくりしたんですけど、貴子ってうちの母親にそっくりなんですよね(笑)。全く意識せずにお芝居をしていたらそうなったので、ちょっとびっくりしました。そんな貴子はもちろん、あの家族自体が私にとっては理想的。私が将来もし子供を持つなら、ああいう家族になりたいですね。あと、倍賞(美津子)さんが演じているお姑さんと貴子の距離感も好きなんですよ。仲はすごくいいんだろうけど、ちょうどいい距離感を保っていてすごく好き。本当にいい家族になったなって、演じている自分でも思いますね」。

(photo:Toru Hiraiwa/text:Hikaru Watanabe)




http://www.cinemacafe.net/news/cgi/interview/2011/07/10962/
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