ここちインタビュー 第10回 麻生久美子さん(女優)

2008年3月28日 毎日新聞

◇夢はたくさんあるけど、大きな目標は立てない 無理な決めごとはしないんです
 ドラマ「時効警察」を見て、実感した。“麻生久美子にはコメディエンヌの才能もあったんだ”と。凜とした清楚な女性のイメージが強かった。だからこそ、妄想癖のある、すっとぼけた婦人警官・三日月役はインパクト大だったのだ。

 「あれは、転機になりました」

 本人もしみじみ振り返る。

 クールな見た目に反し、麻生さんは親しみやすい性格だ。取材中も、飾らない言葉でしゃべり、声を上げてたくさん笑っていた。あらためて、おちゃめな三日月はハマり役だったと思う。

 「でも、コミカルな役の依頼、あんまりこないんです。薄幸そうな見た目がいけないのかな?」

 そんなユーモアたっぷりの言葉で、さらに場が和んだ。

 4月に公開される「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」では、“町のマドンナだけど元暴走族のリーダー”という役柄が気に入り、二つ返事で引き受けた。

 「ギャップのある人を演じるほうが楽しいですから。暴走族時代のシーンでは、大きなカツラと派手なメークが……笑っちゃうくらい似合わなくて。そこにも注目して見ていただきたいですね」

 学生時代は暴走族と無縁どころか、校則順守の優等生だった。

 「ただ、学級委員がやりたいけれど立候補はできなくて、誰か推薦してくれないかなあと願っているような、陰の目立ちたがり屋でしたね」

 美人の優等生……さぞかしモテたでしょう?

 「全然! もっと目立つ子とか、かわいい子がちゃんといましたから。若いときには若いときの美しさがあると思うんですよ。でもいいんです。私の場合、断然いまのほうが輝いてますから(笑い)」

 プライベートでは結婚という節目を迎えた。一人の女性としても充実のときを送っている。

 「結婚しても生活は何も変わりません。逆に、それが気に入っているところです。家事や料理はできるときにやる。無理はしません。仕事に関してもそうですけど、大きな目標を立てると、守れないことがストレスになってしまいますから。ただ、妄想好きなので、ああなったらいいな、こうなったらいいな、という夢は尽きませんね」

 巨匠・今村昌平監督の言葉「人生、一生勉強」が、いまは麻生さんの座右の銘でもある。

 「日本舞踊のけいこも再開したいし、お茶や英語や、ほかの語学も習いたいですね。考えてみると、どれも仕事につながることばかりなんです。ね、やっぱり、私って根が優等生でしょう?(笑い)」

  ◇   ◇   ◇

あそう・くみこ 78年千葉県生まれ。昨年公開された映画「夕凪の街 桜の国」で第62回毎日映画コンクール女優主演賞を受賞。日・イラン映画「ハーフェズ ペルシャの詩」で初めて海外作品に出演したほか、話題作に多数出演している。

 ◇麻生さんをささえるここちよい、ひと・もの・こと
 ◇愛犬
麻生さんの暮らしは、“つっちゃん”中心にまわっている。“つっちゃん”とは、黒い瞳のトイプードル。「なるべく一緒にいたいから、家で過ごすことが多くなりました。一緒にベッドで眠るとき、遊ぶとき……何をしていても可愛いですが、私に怒られてしゅんとしている顔は、とくにいおとしいですね」


(c)2008「ぼくちゅう」PARTNERS ◇「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」
“ママチャリ”率いる7人組は、とある田舎町でお気楽な高校生活を楽しんでいた。ある日、無敵の駐在さんが現れるまでは……。かくして、「イタズラ大戦争」が幕を開ける!麻生さんは駐在さんの若妻(元暴走族)をキュートに演じる。4月5日から、渋谷シネマGAGA!ほかで、全国上映。bokuchu.gyao.jp

取材・文/高倉優子 撮影/水野聖二 スタイリング/宮川友希


http://mainichi.jp/life/cococi/archive/news/2008/20080327org00m100058000c.html
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