北野監督、最新作は芸術残酷物語!自身投影3部作の完結編

2008年04月10日 更新 SANSPO.COM

北野武監督(61)の新作「アキレスと亀」(今秋公開)の製作会見が9日、東京都調布市の日活撮影所で行われた。14作目の今作は、売れなくても夢を追い続ける画家の半生を描く人間ドラマ。自身を投影させてきた前2作に続く「3部作の完結編」と銘打ち、「評価や成功とは関係なく、映画を撮り続けるべきだって、そういう思いを込めた」。映画監督としての信念と葛藤を作品に体現させた。





 以前から語られてきた北野監督の“自身を投影した3部作”の全貌が、ベールを脱いだ。

 完結編は、主演のビートたけし(監督の俳優名)演じる画家・真知寿(まちす)と、樋口可南子(49)扮する妻・幸子の物語。2人の青年期役は柳ユーレイ改め柳憂怜(45)と麻生久美子(29)。2月10日にクランクインし、今月中旬まで撮影予定。

 前々作「TAKESHIS’」で大物タレント・ビートたけしの葛藤を描き、前作「監督・ばんざい!」では映画監督・北野武を自己批判。今作については「才能のない人でも現実に向かい一生懸命やるべきっていう、芸術残酷物語だね」と解説し、「自分の映画作りとオーバーラップさせて、評価や成功と関係なく映画を撮り続けるべきだって思いを込めたんだ」と語った。

 北野作品は、個性あふれる作風で数々の映画賞に輝くなど評価が高いが、その一方で興行面では苦戦することが多かった。その葛藤に答えを出したのが今作だ。

 脚本は北野監督によるオリジナルで、着想は趣味で描きためた絵から。「マヌケな絵がたまっていて、映画で使えないかな?って考えていたら、才能のない画家の話を思いついた」。さらに、「今って、小説などの原作ものやテレビドラマの映画化が多くてオリジナリティーがない。映画は、やっぱりオリジナル脚本でやるべきだと思うんだ」と邦画界の現状への憂いも口にした。

 世界のキタノとして海外人気も高く、新作が待たれているだけに、国際映画祭への出品について尋ねられると、「わからないね」と即答。

 8月末から9月初旬に開催されるイタリア・ベネチア国際映画祭が時期的にピッタリと合う。1997年に最高賞の金獅子賞、2003年に監督賞の銀獅子賞を受賞した縁の深い映画祭だが、「俺は日本の監督だから、日本で当たってくれないと」と苦笑い。完結編が国内外でどんな反響を呼ぶか。


★タイトルは数学の逆説から

 映画タイトルは、数学に造詣が深い北野監督らしく、数学のパラドックス(逆説)、「アキレウスと亀」から引用したと説明。“アキレウスはどんなに足が速くても、先に出発した亀には追い付けない”の論法に、北野監督は「テーマが集約されている気がした」と楽しげに話した。


★憂怜とダンカンにエール

 「3-4×10月」以来、18年ぶりに北野作品に出演する柳は、監督の発案でユーレイから憂怜に改名。「俳優業にハマって18年間地獄を見ているし、寺島進みたいに育ってくれるとウチの事務所も金銭的に楽になるから」と弟子に毒舌交じりにエールを送った。

 自宅で転倒し、折れた肋骨で肺に穴を開ける重傷を負った弟子、ダンカン(49)については「見舞金取られるから行かないよ。寝とけって言っといたんだけど、仕事したくてしようがないみたいだなぁ」と冗談交じりに心配していた。
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